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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第5章 二つめの恋花 恋紫陽花 其の壱
 お民も兵助もこの一粒種の兵太が滅法自慢の種であった。だが、二人の掌中の玉である兵太を天は羨むかのように、ある日突然奪い去った。五歳の夏、兵太は友達と遊んでくると言って出かけたまま、二度と戻ってくることはなかった―。発見されたのは、その日の夕刻で、既にその時、小さな身体は冷たく骸となり果てていた。
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