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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第5章 二つめの恋花 恋紫陽花 其の壱
―勿体ねえ。筆屋の娘は、ここいらでも評判になるほどの器量良しじゃねえか。
 と、皆は首をしきりにひねったものだが、とにもかくにも、源治が相も変わらず淡々としているため、騒いでも面白くない。
 良い歳をした大の男がいつもお民に小言ばかり言われているが、源治は悪い顔もせず適当に受け流している。が、お民はこの源治にも毒舌だけでなく世話焼きぶりを存分に発揮して、多めにこしらえた惣菜を度々〝お裾分け〟と称して届けていた。
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