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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第5章 二つめの恋花 恋紫陽花 其の壱
「あ、あいよ」
 お民は頷くと、近くの老医者の住まいまで走った。その間に、源治は慎重に兵助を抱え上げ、お民と兵助の住まいまで運んだ。
 お民が玄庵と共に駆けつけた時、既に兵助は薄い夜具に寝かせられていた。源治が気を利かして、布団を敷いてくれたものらしい。
 兵助を丁寧に診察した玄庵は、難しい表情で首を振った。
「―先生」
 お民は絶句した。
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