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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第6章 恋紫陽花 其の弐
 兵助が倒れてから三日めの夜。
 源治の家の住まいから、人影がそっと滑り出てきた。
 源治はお民の身が心配でならず、様子を見に出てきたのだ。お民が水ごりをしていることは、むろん源治も知らない。
 斜向かいの家を覗いてみても、粗末な布団に兵助が横たわっているだけで、お民の姿は見えない。病人一人を放り出して留守にするようなお民ではない。第一、こんな夜更けに出かける場所もないはずだ。
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