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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第6章 恋紫陽花 其の弐
 兵助は見た目はそうは見えないけれど、男気のある面倒見も良い男だった。その点はやはり、お民とは似た者夫婦ということだったのだろう。源治にも弟分として眼をかけてくれ、自分が世話になっている棟梁にも口を利き、よく仕事を回してくれる。ゆえに、源治は兵助と同じ仕事場で仕事をすることも多かった。
 そんな時、お民の作った弁当だと、二人分の弁当を下げてやってくる兵助を、源治はどこかで羨んではいなかっただろうか。
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