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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第6章 恋紫陽花 其の弐
 顔を見れば、まるでひと回り以上も歳の離れた弟か、息子に対するように母親口調で訓戒を垂れるが、口の悪さはともかく、お民の言葉には実がこもっていた。上に何とかがつくほどのお人好しで、困っている人を見れば、放ってはおけない。
 しっかり者のように見えて、涙脆くて、放ってはおけないようなところがある。あんな女といつも一緒にいて、賑やかにあれこれ言い合って暮らせたなら、一生退屈しないだろうな、そう思ったのがお民への想いを漠然と自覚した始まりだった。
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