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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第7章 恋紫陽花 其の参
―俺は、あいつの笑った顔が好きなんだ。別嬪とか、そういうんじゃねえが、何だかな、すかっと晴れた日本晴れのような空のような感じで、あいつの笑顔を見ていると、俺の心まで明るくなるような気がするんだ。
―へえ、そんなもんかな。そいつは、真昼間からご馳走さまで。
 普段は絶対にお民とのことをのけたりするような男ではないのに、何故か、このときだけ、兵助が弁当を食べながらこう言った。
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