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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第7章 恋紫陽花 其の参
―本当に、あたしったら、どうしたんだろう。
 幾ら相手が源治だとしても―男女の仲になることなんて全くあり得ないとしても―、亭主を亡くしたばかりの女が男の胸で泣くというのは、あんまり体裁の良いものではない。
 お民は白木の位牌となった良人の傍ににじり寄る。
「お前さん、何だか、あたし、疲れちまったよ。今夜はもう何も考えないで眠っちまっても良いかねえ」
 むろん、兵助が応えてくれるはずもない。
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