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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第7章 恋紫陽花 其の参
―人が折角良い話を紹介してあげたのに、何とも我が儘というか、考えなしなことだ。良いかい、あんたのような何の取り柄もない女が一人で生きてゆくからには、身体を張るくらいのことは覚悟しないと駄目なんだよ。はっきり言わせて貰いますが、あんたが今、使えるものといったら、女を武器にする―つまり、その身体くらいしかないでしょう? 今はまだ女を売り物にできるけれど、もう二、三年もすれば、それもできなくなっちまうよ。今の中に良い話があれば、それに乗っかった方が利口というものだろうに。