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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第7章 恋紫陽花 其の参
「おかしな人ね。あたしなんかに親切にしてくれて。こんな、何の取り柄もない女なんかに親切にしてくれたって、何も良いことなんてないのに。源さん、あたし、今日、口入れ屋に何て言われたと思う? 良い奉公先があるからって、何かと思ったら、妾奉公ですって。ふん、笑っちゃうじゃない。亭主を亡くした、何の取り柄もないあたしには、身体を使うことくらいしか何もできることがないんだってさ。―馬鹿にしてる。あたしは死んだっていや。そんなことしなきゃ生きてゆけないのなら、死んだ方がマシだよ」