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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第8章 三つめの恋花 桜いかだ 其の壱
 どういうわけか、さしたる用事があるわけでもないのに、足早に道を通り過ぎる人を見ているだけで、自分も見えない何かに急き立てられるような気になってしまう。そんな忙しなさげに歩いてゆく人々の中、弥助だけがうつむき加減でゆっくりと歩いている姿は、どこか賑やかな師走の町とは一線を画しているようにも見える。
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