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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第8章 三つめの恋花 桜いかだ 其の壱
 が、弥助にとっては、娘と二人で暮らす―てっとり早く言ってしまえば雨露しのげる場所があれば、それで十分用は足りる。幾ら家の畳がすり切れていようと、天井に染みがあろうと、二、三日の店賃の遅れくらい笑って大目に見てくれる徳平は、まさに神さまのような大家であり、多分、他の徳平店の住人たちにとっても同じことであったろう。
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