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第8章 三つめの恋花　桜いかだ　其の壱

「ですから、何度も申し上げたじゃァございませんか。あたしのような女がのこのこお店(たな)までお訪ねしていっても、皆さま、仰天なさるどころか、呆れるのがオチってもんですよ。良い歳をした、縄暖簾の女将風情が何を血迷ってるか、勘違いしてるかってね。あたしも今更、他人(ひと)さまや世間の笑い者になるのもご免、蔑まれるのもご免ですから」
「そのようなことはない、お前を馬鹿にさせたりなんぞ、この私がついていながら、あるものか。な、おれん。頼むから、一度、うちの店に来て私の両親に逢ってくれ」