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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第8章 三つめの恋花 桜いかだ 其の壱
 その科白に、おれんの冷めた瞳がいっそう吹雪の吹き荒れる夜のような冷たさを増す。
「まァ、黙って聞いてりゃア、よくもそうふざけたことが言えるもんだね? 誰が惚れ合ってるって、どこの誰と誰が愛し合ってるって!? 良いですか、若旦那。くれぐれも言っときますけど、あたしは仮にも一度だって、若旦那に好きだとも惚れてるとも申し上げた憶えはありませんよ。若旦那が勝手に一人で妙な勘違いをなさってるだけですからね。良い加減にしつこくつきまとうのは止しちゃくれませんか。あたしは迷惑なんですよ」
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