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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第8章 三つめの恋花 桜いかだ 其の壱
「お前なんか所詮は―」
 その言葉に覆い被せるようにおれんが言った。
「所詮は場末の飲み屋の女将風情が、でごさいますか? ですが、お言葉をお返しするようでございますが、その飲み屋の女をみっともなく追い回してるのは、そもどこのどなたでしょうかね?」
「―! 貴様ァ、言わせておけば」
 若旦那が逆上して、おれんに掴みかかろうとするのを、すんでのところで弥助が止めた。
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