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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第8章 三つめの恋花 桜いかだ 其の壱
 弥助は軽く会釈をすると、再び踵を返した。
 その後ろ姿に向かって、おれんが深々と頭を下げる。
 弥助の姿が人波に呑み込まれ、見えなくなってもなお、おれんがその場に立ち尽くしたままであったことを弥助が知ることはついになかった―。

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