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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第8章 三つめの恋花 桜いかだ 其の壱
その浪速屋の旦那に間に立って貰って、きちんと話をつけたらどうだい? さもなければ、お前さんだって、いつあの若旦那が来るかと思やア、気の休まるときもないだろうに」
 その刹那、おれんの華やかな笑顔がさっと翳った。そのあまりにも儚げな笑みに、弥助は胸を衝かれる―というよりも、おれんには申し訳ないが、見惚(みと)れてしまった。
 おれんは笑顔だけでなく、愁いを帯びた顔も良い。切なげな表情になると、おれんの本来持つ色香が表に出て、艶やかな美貌が鳥肌の立つほど更に際立つ。
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