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第8章 三つめの恋花　桜いかだ　其の壱

　いずれにしろ、被害者であるおれんがそこまで三笠屋に義理立てしてやる必要はないようにも思えるが、それが、おれんという女の気性なのだろう。
　再び落ちた沈黙に、おれんが必要以上に明るい声で言う。恐らく、沈んだ雰囲気を和ませるための配慮だろう。
「済みませんね、何だか、すっかり暗くなっちまって。もう止しましょうよ、こんな話を続けたって辛気臭くなるばかりだもの。それに、お料理も冷めちまいましたね。お豆腐、もう一度温め直してきましょうか？　さ、お一つ、どうぞ」