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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第8章 三つめの恋花 桜いかだ 其の壱
 その間に、おれんがまた、銚子を捧げ持ち、弥助の盃を満たす。
「いや、もう十分頂いたから」
 弥助が断ると、おれんは笑った。
「そうですね、あまり遅くまでお引き止めしても、奥さまやお嬢さんに申し訳ないわ」
「―女房は死んだよ。だから、もういねえ」
 我ながら何とも妙な応え方だと思うけれど、こんな言い方しかできない不器用な男なのだから仕方ない。
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