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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第9章 桜いかだ 其の弐 
 お静が亡くなってからというもの、再婚もせず男手一つで育てた娘もいずれは自分の手許から離れてゆく。子の巣立ちは当然のことではあるが、父親としてはいささか―いや、かなり淋しいものだ。
 それでも、やがて惚れた男とめぐり逢い、互いに心から必要とし愛し合えるようになることが美空の幸せだというのなら、歓んで娘の旅立ちを見送ってやろうと思う。
―美空、お前は一体、どんな男の隣に並んで、これからのお前の人生という道を歩いてゆくんだろうなァ。
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