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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第9章 桜いかだ 其の弐
「この間の夜、あんなに遅くなっちまったことはなかったんで、どうにも白状しなきゃならねえ羽目になっちまった。だが、下手に隠し立てて、嘘を並べ立てるより、本当のことを話した方が良いと思って、さ。あいつは物の道理の判る娘だから、俺の伝えたいことは、ちゃんと受け取ってくれたと思う。あいつ、おれんさんに逢いたいって。おれんさんの作った金平を食べて、こんなに料理の上手な人なら、自分も料理を習って将来の亭主に食べさせてやりてえんだとよ。―全っく、今時のガキは口だけは一人前にませたことを言いやがって、いけねえや」