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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第9章 桜いかだ 其の弐 
 絵馬堂は恋の神さまが祀られているという。かくいう弥助自身、今日は、行きがけに絵馬堂に願掛けでもしてみようかと考えたのだ。
 むろん、叶えて貰いたい恋の相手は、おれんである。格別に祈ったわけでもないのに、こうも容易く願いが叶ったのは、神さまが弥助の切ない男心を憐れんで下されたのか。
 弥助にしてみれば、両想いになれたと判った今でも、やはり、気にはなる。おれんは一体、何を願ったのか。
 おれんが悪戯っぽい笑みを浮かべた。
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