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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第9章 桜いかだ 其の弐 
 恐る恐る娘の方を見ると、十二の娘がまるで二十歳過ぎの一人前の女のように分別くさい顔で眼前に座っていた。
「いや、実はだな」
 弥助は口を開きかけたものの、そこで再び固まった。
―ええい、ままよ。
 弥助は、ありったけの勇気を振り絞り、ひと息に言った。
「所帯を持ちてえんだ」
 と、そこまで言い、頬を赤らめる。身体中の血が顔に集まってきたように頬が熱い。
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