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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第10章 桜いかだ 其の参
 所帯を持った後、おれんが店をどうするのかは、また、これからゆっくりと考え、最終的には、おれんが決めることだ。
〝花のれん〟は、おれんが亡くなった父親から受け継いだ大切な店だと言っていた。ならば、おれんが店を続けたいというのであれば、弥助は一向に構わない。弥助は居職の錺り職人だから、弥助の方がおれんの暮らす家―おれんは〝花のれん〟の二階で起居している―に移り住んだとしても良いのだ。
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