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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第10章 桜いかだ 其の参
 しかし、おれんの心遣いもかえって裏目に出たようだった。おれんの言葉は藤次郎の怒りを余計に煽ったらしく、藤次郎はつかつかと近寄ってくると、いきなり弥助とおれんの前の卓を勢いつけて引っ繰り返した。
 四角い卓は見事なまでに横転し、上に乗っていた器や徳利、盃の落ちて割れる音が凄まじく辺りに響き渡る。
 おれんの悲鳴がその場に満ちた異常なまでの緊迫をつんざいた。
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