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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第10章 桜いかだ 其の参
 そこまで考えて、おれんは己れの考えのあまりの禍々しさに眉をひそめ、身をわななかせた。
 冷たさを含んだ夜風が身の傍を駆け抜けてゆく。遠くから聞こえてくる犬の遠吠えがおれんの不安と焦燥をよりいっそうかき立てるようであった。

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