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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第10章 桜いかだ 其の参
 弥助の骸(むくろ)が変わり果てた姿で発見されたのは、その翌朝のことであった。
 その知らせは、直ちにおれんの許にも伝わった。
 弥助父子の暮らす徳平店の親切な女がその訃報を〝花のれん〟にまでわざわざ伝えにきてくれたのである。知らせてくれたのはお民といって、二十一、二の若い女房だった。
 何でも弥助の家の斜向かいに住む大工の女房だという。お民は弥助が近々、おれんと所帯を持つ気であることを、娘の美空から聞いていたらしく、気を利かしたのだ。
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