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第11章 四つめの恋花　山茶花～さざんか～　其の壱

　そんな日がどれほど続いただろう、惨めさに慣れた頃、借金取りと女衒が来て、千汐は吉原に連れられていった。その日が、おさよとの永の別れになった。
　おさよは十四年間、手塩に掛けて育てた千汐が男たちに引き立てられるようにして連れ去られるのを泣きながら見送った。
　父に対する恨みはない。商売に失敗したのは致し方のないことだ。父は父なりに最後まで力を尽くし、そのために自らの生命すら削ったのだ。そんな父をいかで恨むことができよう。