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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第12章 山茶花~さざんか~ 其の弐
「可哀想に、さぞ辛かったろう」
「同情なんて要らない。何で怒らないのよ? あたしは、あんたを騙してたのよ。もしかしたら、あんたはもう、あたしが持ってる病にかかっちまったかもしれない。それでも、あんたは、あたしを許せるっていうの」
 男が何かに耐えるような眼で首を振る。
「同情なんか、しないよ。お前の持ってる病が私に感染るかどうか、それは御仏がお決めになることだろう。今、ここで私が心配したとしても、何の意味もないことだ」
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