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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第13章 山茶花~さざんか~ 其の参 
 しかし、千汐は不思議と身籠もった子を堕ろそうという気はなかった。判った刹那、生もうと思い、指を折って思い返し、この子を身籠もったのが丁度三月前、曽太郞とめぐり逢った頃であることに思い至った時、その思いは決定的になった。
―この子を、曽太郞さんの子を生みたい!!
 そう思った刹那、ほのかな歓びがさざ波のように広がり、ゆっくりと身体だけでなく心まで満たしていった。
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