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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第13章 山茶花~さざんか~ 其の参 
「お前がそのようなことにまで一々気を遣わなくても良いだろうに。奥のこと―病人の世話なんぞ女中に任せておけば良い」
 曽太郞がどこか投げやりな口調で言うと、安平太は少し哀しげな表情になった。
 質の悪い風邪に罹ったと知ったのは、もう一年近く前のことになる。去年の暮れ、あの女―いまだに曽太郞の心を捉えて離さない千汐という女とめぐり逢った夜から数日を経た頃のことだ。
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