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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第13章 山茶花~さざんか~ 其の参 
 でも、できなかった。お督(おつな)を信じて一途に橋の上で待ち続ける曽太郞を見て、突き放すことができなかった。
 あれが、二人の縁の始まりだった。星を宿す夜空のように澄んだ瞳を見て、一瞬で恋に落ちた。
 幾ら刻を遡ったとしても、千汐はやはり曽太郞に声をかけるだろう。そして、二人は結ばれ、恋に落ちてしまう。もしかしたら、それは二人の人生において避けられない宿命なのかもしれなかった。
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