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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第2章  春の夢 其の弐
 あの日、信濃屋と共にいたときは、たまたま同業の呉服商ばかりが集まる寄合が〝みやこ〟で行われ、その帰りであったらしい。
 思いがけず、お須万が江戸でも指折りの大店伊勢屋の女主人であると知ってもなお、不思議と清七の心に怒りはなかった。あの一夜を共にした日、お須万は明らかに清七に失った良人の面影を重ねて見ていた。
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