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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第13章 山茶花~さざんか~ 其の参 
 興醒めな戯れ言を口にしながら、男が千汐を嘗めるような眼で見ている。欲情を宿した粘着質で厭な視線だ。
 男たちは二人連れのようだ。いでたちからして人足仕事でもしている男なのだろう。まだ若く、歳は千汐と大差なさそうだ。
 男たちは連れだって橋を渡り、千汐に近づいてきた。
「おっ、別嬪じゃねえか。正次(しようじ)、今夜はお前、運が良いな」
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