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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第13章 山茶花~さざんか~ 其の参 
 ヒ、と、正次が悲鳴を上げた。
「ば、化けものだ」
 後ずさりする男にきっぱり背を向けて、このまま去ってゆきたい衝動に駆られた。しかし、それはできない。ここから少し離れた裏店では、三つになる倅が腹を空かして待っている。
 千汐は曽平のあどけない笑顔を思い出し、精一杯の作り笑顔を浮かべた。
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