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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第13章 山茶花~さざんか~ 其の参 
「旦那、そうお怒りにならないで下さいよ」
 それでも背を向ける客の脚に臆面もなく縋りつく。
「止めろッ、鬱陶しい」
 正次が左脚に縋り付いた千汐の顔を蹴り上げた。
「あっ」
 思わず声を上げ、千汐のか細い身体は後方へと転がった。
 あまりの屈辱と情けなさに涙が出る。
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