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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第13章 山茶花~さざんか~ 其の参 
 実のところ、真平が確かにあの男の子かどうかと問いつめられれば、千汐自身も自信はない。真平を身籠もった時期と曽太郞に抱かれた頃がたまたま一致するだけなのかもしれず、もしや、全く違う名も顔すらも記憶してはおらぬ男の種かもしれないのだ。
 だが、真平が曽太郞の子だと思うことが、この六年間、千汐を支えてきた。たとえ恋しい男が約束を守らず、千汐を迎えにきてはくれなくても、男の血を引く子どもが手許にいると思うだけで、何とかしゃんと自分を保っていられたのだ。
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