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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第13章 山茶花~さざんか~ 其の参 
 鏡に映った自分の身体を見て、千汐は戦慄を憶えた。白い膚の何カ所かに赤く爛れた部分がひろがっている。ついこの間までは二の腕と太股だけ―ほんの一部だったのに、まるで野火が瞬く間に燃え広がってゆくのにも似て、醜い爛れは千汐の白い膚を広範囲に渡って蝕んでいる。
 背中の半分ほどを新たに赤い爛れが覆っていた。
 千汐は衝撃のあまり、涙さえ出なかった。
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