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第13章 山茶花～さざんか～　其の参　

「そりゃア、そうだけど。―でも、あんたは、それで良いのかえ。常識で考えてもみなよ。普通、たった一夜を共に過ごしただけで、後は六年もなしのつぶてなんて、どう考えたって男の方が本気じゃなかったって思うしきゃないじゃないか。それを、一途にいまだに待ち続けてるなんて、あんたがどれほどその男に惚れちまってるかは判るよ。そこまで思い込んだ男に、子どもの存在さえ知らせないで良いのかい」
　千汐は淡く微笑した。