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第2章 　春の夢　其の弐

　現に、お須万と出逢った日から、おみのと太助のことを思い出す時間は次第に減り、いつしか、思い出すことさえなくなっていた。
　その代わりのように、お須万の面影を日がな瞼に思い浮かべ、お須万と過ごしたあの夢のような一夜のことばかり考えている。
　そういってしまえば、薄情な男のように思われるだろうが、それが恋というものかもしれなかった。