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恋する妻
第5章 新しい下着
「やあん、もう…」
「郁、風呂に入ろう」
そう言って、僕は郁の着ていたセーターを脱がしました。その下には薄いグレーのキャミソール、そしてショーツとお揃いの白いブラジャーをしていました。それらを脱がすと、郁はキッチンで全裸になりました。

「あたしだけ裸?お兄も脱がしてあげる!」
今度は郁が、僕を全裸にしました。ふたりとも全裸になると、僕は郁を抱っこして風呂場に向かいました。風呂場までの間、郁は僕の首に手を回しキスをしてくれました。

郁は僕のことを、お兄(にい)と呼びます。その理由は、僕と郁が出会った頃にさかのぼります。郁は僕が働く会社に、高卒の新卒として入社してきました。僕は22才、郁は18才でした。会社は電子関係の専門商社で、当時は設計を担当する僕の部署のアシスタントとして、郁は配属されました。設計はみなベテラン男性ばかりで、僕が最年少でした。5人ほどの小さな部署でしたので、必然的に僕が郁の教育係となりました。

郁は母と弟の3人家族でした。父親は郁が中学生の頃、事故で亡くなっています。母親も働いており、父の保険金もあり決して金銭的に不自由ではなかったのですが、郁は高卒で就職を選びました。その際、僕の会社に入社したのは、母親が経営陣の親戚だった縁でした。僕はそれまで専門学校の頃からの恋人がいたのですが、郁の入社する前の年に別れていました。ほとんどが中年男性ばかりの職場で、若い独身の僕と郁は自然に仲良くなっていきました。

郁と付き合いはじめたのは、彼女が入社した夏のことでした。職場の慰労会で、花火を見に行くことになりました。その時の幹事が、僕と郁でした。慰労会の下見のため、休みの日に待ち合わせをしました。結局、それが初デートになりました。下見が終わり自然に食事をして帰ることになり、お互いフリーなことを確認していました。それからプライベートなメールのやり取りが始まり、いつの間にか友人以上になっていました。そしてその年の秋、ふたりで1泊旅行に行き、僕と郁はセックスをして結ばれました。それからは恋人同士となりましたが、職場では隠していました。ただ、後から聞いた話ではすぐにバレていたようです。なぜなら、その頃から郁の僕の呼び方が変わってきたからでした。

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