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恋する妻
第10章 セックス報告
「ねえお兄、撮って!」
僕がレンズを向けると、郁がスマホに語り始めました。

「雄大…お姉ちゃん、裸だよ」
僕は郁の全身が写るよう、距離をとりました。郁は僕の意図を理解したように、その肢体の全てを晒しながら、語り続けました。

「お姉ちゃん…雄ちゃんがずっと好きだよ」
そしてレンズに近づくと、唇をすぼめキス顔をしました。

「いつかお姉ちゃんを…抱いてね」
そう言うと僕からスマホを奪い、動画をストップしました。そして僕に抱きつき、子供のような笑顔で話しました。

「恥ずかしい…もう、あたしダメ」
「今のは…カミングアウト?」
「…うん、そう!ああ、言っちゃった!!」
郁は照れ隠しに僕の小さくなったものを舐め始めました。しかし雄大へのメッセージは、悠への想いの裏返しでもありました。

「雄大、かわいいんだよ…」
「うん、知ってるよ」
9歳違いの弟、雄大はまだ高校2年生です。僕が初めて雄大に会ったのは、彼がまだ小学生の頃でした。結婚で郁が家を出るとき、雄大は涙を流していたことを僕はよく覚えています。そして父を早くに亡くした姉弟は、看護師の母がフルタイムで働いていたこともあり、生活の多くの時間をふたりだけで過ごしていました。郁は雄大の姉であり、母親でもありました。

「雄大、彼女できたのかな?」
僕は射精の後となり、いわゆる賢者タイムとなっていました。まだ興奮の余韻の残る郁と違い、すこし冷静になっていました。そして少しの間、悠を忘れていました。

「彼女、できたみたい…お母さんが言ってた」
「もう高校2年だよね、雄ちゃん」
郁はちょっとだけ、不満そうに弟の話を続けました。それは可愛い弟が、誰かに取られたような気持でした。

「どんな彼女なの?」
「…あんまり言わないんだって、雄ちゃん。お母さん、笑ってたけど」
中学の後半から雄大はあまり喋らなくなりましたが、小学生の頃は僕も一緒に遊んだこともありました。その頃の雄大は父親がいないせいか、男性の僕に懐いていました。今も決して関係は悪くないですが、難しい思春期の男の子です。

「でもね…彼女、年上だって」
「年上?」
「うん、バイト先の人らしい…」
まさに郁と悠の関係でした。僕はまた、よからぬ妄想がこみ上げていました。

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