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こころから
第35章 久美子17
「痛い、もうやめて」

 たまらず私は言った。
ギブアップ。
ほんとうは痛くなかった。
痛くないどころか、
ぞくぞくするのが強くなっていた。
触れられていないはずの腰が、
羽で撫でられているみたいに。
これ以上続けられると否定できなくなる。
だからやばいと思ってやめてもらった。

「すみません、大丈夫ですか?」

 言った通り、直人くんはすぐに指を抜いてくれた。
よくがんばったね、というふうに、
そこを指で優しくマッサージされる。
それが気持ちよくてほわーっとして、
もう一回くらいなら指入れられてもいいな、
と思ってしまっていた。
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