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こころから
第50章 直人26
 遠くからサイレンが近づいてくる。
この音はパトカーだったか、救急車か、消防車か、
いつもよくわからなくなる。
どんどん近づいてくる。
うるさいな、と思う。

 サイレンの音が消え、入れ替わるように久美子さんの声が聞こえた。
泣きじゃくる久美子さんの声。
ぼくの名前を呼んでいる。

 だめだよ。
下の名前で呼んだら関係がばれちゃうよ。
油断し過ぎですよ。

 そう言おうとしたが声が出ない。
息もまともにできないようだ。
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