この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
こころから
第53章 久美子27
わかってた。
わかってたけど無理だ。
あんなに情熱的に、
あんなに誠実に、
他の何もいらないという目をしながら、
魂ごとぶつかってくるみたいに全身全霊で愛してくれたら、
本気にならないなんて無理。
「まあ、それは建前。あんたの気持ち、わかる」
さおりがベッドに腰掛ける。
「今はすごくつらいだろうけどね。私から見たら、少し羨ましい」
さおりの横顔はきつねっぽい。
妙に色気があって、昔から男女問わずによくもてていた。
「亡くなられた子は気の毒だけど」
言葉が途切れる。
直人くんの冥福を祈ってくれているよう。
わかってたけど無理だ。
あんなに情熱的に、
あんなに誠実に、
他の何もいらないという目をしながら、
魂ごとぶつかってくるみたいに全身全霊で愛してくれたら、
本気にならないなんて無理。
「まあ、それは建前。あんたの気持ち、わかる」
さおりがベッドに腰掛ける。
「今はすごくつらいだろうけどね。私から見たら、少し羨ましい」
さおりの横顔はきつねっぽい。
妙に色気があって、昔から男女問わずによくもてていた。
「亡くなられた子は気の毒だけど」
言葉が途切れる。
直人くんの冥福を祈ってくれているよう。