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貴方に染まる
第3章 Ⅲ
暫く沈黙が続いた後、もう帰りたいなと思って声をかけようとしたけど、先に口を開いたのは蘭だった。
「名前」
「え?」
「もう呼んでくれないのか?」
何、自分だって私の事、お前って呼ぶくせに自分は名前で呼んでほしい訳?
はぁ、とため息をつけば、掴まれていた手に力が入っているのが分かる。
「俺も名前で呼ぶからアンタとかあなたとか辞めて。抱く時も優しくするから」
意味わかんない……。
でも……、
顔を歪めて少し寂しそうにしてる蘭を見ると、この腕を振り払うことなんてできなかった。