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ひだまりのねこ
第11章 嫌い②
優佳は毎日この薬を飲ませ続けたのである。
日に日に、お尻のキズは小さくなっていった。
クロちゃんはこのお薬が余り好きではなかったが、優佳から飲まされると何だか頑張れるのだった。
クロちゃんは優佳を独り占めできる喜びを知った。
こうして具合が悪かったり、ケガをすると優佳はとても優しくなるからだった。
そして、また10日後に動物病院に行くことになった。
クロちゃんを洗濯ネットに入れてキャリーケースに詰め込んだ。
相変わらず「ギャーギャー」と鳴きわめいていた。
本当に病院が嫌いだったのだ。
動物病院が好きな犬や猫は多分余りいないだろう。
クロちゃんも同じであった。
先生に臭腺を診てもらった。
「うん、いい感じに治ってるね。反対側の臭腺を絞ろうか」
そう言うと先生は肛門の辺りをギュッと指で摘まんだ。
すると、クロちゃんは悲鳴に似た声を上げるのだ。
その声は、今まさに殺されるのではないか。
と、思える様な叫び声だった。
「うん、やっぱりこっちも溜まってたね。出せて良かったよ。このままにしてたらまた反対側が破裂するところだったよ」
「先生、ありがとうございます」
「いや、これでクロちゃんが元気になればそれでいいから」
そう言うと先生は笑ってくれるのだ。