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ひだまりのねこ
第14章 クロちゃん
それをカプセルから出し、ちゅーるに混ぜてお皿に乗せてクロちゃんに与えていた。
そうすると少し下痢は収まるのだった。
クロちゃんは11月がお誕生日だった。
もう15歳になっていたのだ。
人間の年齢にすると76歳くらいだった。
後期高齢者である。
猫の平均寿命は15歳くらいである。
下痢を繰り返すクロちゃんを見て優佳はこの寿命を考えていた。
クロちゃんは段々とお薬を飲むのを嫌がるようになってきた。
そんなクロちゃんを見て優佳は思った。
「もうこれ以上、クロちゃんにお薬を飲ませるのはやめよう」と。
そして、優佳はクロちゃんにお薬を飲ませるのをやめた。
それはある意味クロちゃんの死を早める行為でもあった。
しかし、もう下痢止めを飲ませても吐き気止めを飲ませても効かないのである。
動物病院に連れて行っても良くなる見込みはなかった。
ならば、これ以上クロちゃんを苦しめる事はしないようにしようと思ったのである。
お薬を飲まなくなってからクロちゃんは少し元気になってきた。
クロちゃんは床に座っている優佳の膝に乗ってきては“ふみふみ”をするのだった。
クロちゃんの甘えぶりは優佳にとってもとても嬉しいことだった。
やはり、お薬を飲むことがストレスになっていたのかも知れないと思っていた。
季節は暑い夏を迎えていた。