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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密


 カーテンの隙間から差し込む月明かりが、徐々に陸矢の素顔を照らし上げていく。私を見つめる目が、爛々と鈍い光を帯びた。

「木葉ちゃんと比べれば、見た感じは少しだけ派手なのかもしれない。髪の色も明るかったし、スカートも短くしてさ。だから、兄としても心配でね。やっぱり、男が寄ってきやすくなるじゃない? でも、その点では真面目だったんだよ。木葉ちゃんと同じ。今年、高校一年生なんだけれど、まだ彼氏とかできたこともなくてさ。それなのに――」

 急に太くなった声に、私はビクリと身体を震わせた。

「ああ、ごめんごめん。でも、涼一くんがいけないんだ。僕は何度も言っておいたんだよ。妹とつき合うのなら、まずは僕に断ってくれと。妹を可愛がってたのは、その通りだけどさ。別にそんなの普通だろ。シスコンってほどじゃないさ。木葉ちゃんだって、そう思うよね?」

(なに……を?)

 自分がなにを聞かれてるのかさえ、この時にはもうわからなかった。只、なにかに憑かれたように話している、目の前の人の様子が恐ろしかった。

 満足に返事もできない私のことなど、眼中にないといった雰囲気で、更に話は続けられた。

「別に僕だって、妹を縛るつもりなんてなかった。だから本当に好きな相手なら、つき合うことだって賛成したと思うんだ。うん、それは断言できる」

 ここで、とても意外なことを聞かれた。

「ところで木葉ちゃんは、妊娠検査薬ってわかる?」

(よく、しらない……)

 声にならない言葉に代わり、首を横に振ると。

「入ってたんだよ。それが妹のバッグの中に。兄として、とてもショックだった。だって、そうだろう? それがなにを意味するかわかる? ねえ、木葉ちゃん!」

 もう目を閉じて、首を振ることしかできない私。

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