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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密

その両肩を強く掴んで、陸矢は怒鳴りつける様に言ったのだ。
「やりやがったんだよ、あの野郎っ! 妹の処女を奪ったばかりじゃ飽きたらず、よりにもよって生でなっ!」
「もう、いやぁ!」
全身に覚えた寒気を吐き出すようにして、私は悲鳴を上げた。すると――
「今、大事なところだろうがぁ、コノォー!」
興奮のままに振り上げられた拳、それが私の顔面を打ち据える寸前でピタリと止まった。
はあ……はあ……はあ……はあ……。
恐怖に怯える私と、興奮で震える相手の呼吸とが、暗がりの中で交差していた。
もう、酷いことになるのは避けられないのだろう。私はもう絶望するしかなかった。
「ごめんよ、木葉ちゃん……つい興奮してしまってね」
たとえ、そんな反省の言葉を聞いても、今更私は微塵も恐怖を消すことができない。この心に、しっかり染みついたように……。
「あくまでも冷静に、それが僕の信条のはずなのに……いやぁ、まったくみっともない姿をみせて、すまない」
今、目の前にいる人は狂人だ。その態度がどうあっても、私はもう震えるしかなかった。

